【日中特許法制度比較】手続の補正【中日专利法制度比较】
特許法の勉強において青本を読み進めるにあたって、最初に躓くのが手続の補正で有ると思うので、ここを自己研鑽のために、日中比較を通して深く理解しようと試みる。
日本国特許法において、手続の補正は17条以下に定められている。
まず基本となる17条は全4項あり、
17条1項本文には原則的規則として、下記の通り定められている。
❝手続をした者は、事件が特許庁に係属している場合に限り、その補正をすることができる。❞
これは、旧法では方式違反について、不受理事項として再出願を行うことで処理されていたところ、先願主義を採用する我国において、瑕疵を訂正するなどして出願の時期が遅れることは出願人にとって大変な不利益を生むものであったという問題と、実際上の問題として、さまざまな理由により、全ての手続きが完全に行われることが難しいことから、一定の制限を担保して定められたものである。
条文構成を見ると、「主体+条件+可能行為」との構成になっている。
つまり、特3条2項にいう手続を行った者は、その手続が特許庁に到達し、または、特19条によって到達が擬制された時から、特許出願の放棄、取下げなどによって係属状態が消滅するまでの間は、その補正をすることができると読める。
また、17条1項但書には上記「一定の制限」として、下記の通りの定めが置かれた。
ただし、次条から第十七条の五までの規定により補正をすることができる場合を除き、願書に添付した明細書、特許請求の範囲、図面若しくは要約書、第四十一条第四項若しくは第四十三条第一項(第四十三条の二第二項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)及び第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)に規定する書面又は第百二十条の五第二項若しくは第百三十四条の二第一項の訂正若しくは訂正審判の請求書に添付した訂正した明細書、特許請求の範囲若しくは図面について補正をすることができない。
条文構成を見ると、「但+除+範囲+禁止行為」との構成になっている。
まずは、簡単に「但+範囲+禁止行為」について切り取って見てみる。
なぜならば、「除」は「範囲」に包含される次的単位であるためである。
まず、但書であることから、1項本文の部分否定であり、「範囲」によってその部分が特定されている。上記紫色部分が「範囲」にあたるため、これを抜き出してみると下記のとおりになる。
❝願書に添付した明細書、特許請求の範囲、図面若しくは要約書、第四十一条第四項若しくは第四十三条第一項(第四十三条の二第二項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)及び第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)に規定する書面又は第百二十条の五第二項若しくは第百三十四条の二第一項の訂正若しくは訂正審判の請求書に添付した訂正した明細書、特許請求の範囲若しくは図面❞
これを更に3つに分解すると下記のとおりになる。
1.願書に添付した「明細書」「特許請求の範囲」「図面」「要約書」
2.第四十一条第四項若しくは第四十三条第一項(第四十三条の二第二項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)及び第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)に規定する書面
3.第百二十条の五第二項若しくは第百三十四条の二第一項の訂正若しくは訂正審判の請求書に添付した訂正した「明細書」、「特許請求の範囲」「図面」
1.については明確に書かれているが、2.3.については条文が引用されており、非常に見苦しいものとなっているため、更に簡単にする。
2.41条は国内優先権、43条はパリ条約による優先権であり、41条4項及び43条1項はそれぞれ提出すべき書面を規定している。
3.120条の5は特許異議申立てによる取消決定前の意見書の提出の機会を確保するものであり、同2項は意見書の提出につき指定された期間内において、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正を請求することができると定めている。
134条の2は特許無効審判における訂正の請求であり、これも同条が引用する条文内で相当の期間が指定され、その期間内においてのみ訂正を請求できると定められている。
この「範囲」において、「手続をした者」は、原則補正できない。
しかしながら、17条1項但書は上述の通り、「但+除+範囲+禁止行為」の構成であるため、補正ができない場合の例外を定めている。それが、「17条の2から5までにおいて補正できると定められている場合」である。
まだまだ続く